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執筆者の写真平井 新一

人が集まる“カーサービスサロン”、オートリンクの事業設計とは。【後編】


 稲葉社長は、あるセミナーで「『車検のときぐらいは洗車してあげている』の『あげている』では、勝ち残れない時代がやってきた。お客様視点に立てば、洗車したいタイミングは車検の時とは限らない。行楽シーズンやデート、冠婚葬祭や商談など、何かしらのタイミングがある」と話しています。

 こうした考え方からオートリンクが打ち出したのが、全ての来店客に無料で質の高い手洗い洗車を提供する「まごころ洗車」でした。この「まごころ洗車」は、すでに5年以上も継続されていて、年間来店台数の30~40%は洗車のみの来店で延べ6000台以上。しかも全てHonjyoの洗車モップを活用しています。数字は驚異的ですが、実際には月に2~3度来店されるようなお客様もいらっしゃるため、ドロドロに汚れた車を汗だくで洗車するようなケースは稀。また軽や小型車が多いのでそこまで苦にならないのだとか。それでも洗車で忙しくなった際には、社長や女性事務スタッフやサポートに入るのがオートリンク流。

「『面倒くさい』を押し付けるやり方では絶対に成功しない」と語る稲葉社長。「心地よい疲労感とチームワークの楽しさをつくることも重要なんですよ」と言います。

 オートリンクのスタッフたちは、自動車だけを相手にするのではなく、お客様、つまりは人間も相手にする仕事が習慣付いているので、笑顔も柔らかくなっていく→柔らかな笑顔で自然な会話を生み出す→自然な会話や居心地のよさから得られた信頼によって、お店とお客様のつながりを深く強くする……これが、「まごころ洗車」を入り口に、安売りや広告宣伝に予算を使わなくても確実に車検や車販、保険が売れるというオートリンクの事業設計です。

 稲葉社長と話すたびに感じるのは、「目の前のお客様が本当に喜んでくれることは何か?」を考え抜き、即実行する行動力の大切さ。カフェのような心地よい空間づくりと、「まごころ洗車」。この2つの施策をご紹介しましたが、もうひとつ重要なことは、「ありがとう」を集めて、人が輝く仕組みをつくることではないでしょうか。

 無料ドリンクや洗車によってお客様からも仲間からも「ありがとう」が集まる。その「ありがとう」の声によってモチベーションが高まる。結果として、オートリンクを愛するお客様と、ここで働きたいと考える人材がどんどん集まってくる……これがオートリンクの強さの秘訣なのです。高価な設備や特別な技術力ではなく、人の魅力で、人が集まってくるサロンのようなお店をつくること……オートリンクこそが、これからの自動車業界で求められる“次世代型カーサービスサロン”とも言うべきモデルケースなのかも知れません。

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